手紙~親愛なる子供たちへ

今日、ある人に出会う為に久しぶりのその家を訪れた。
お母さんが、「あら、久しぶりですね」って感じで迎えてくれた。
「もう少ししたら戻ってくるので、中に入ってお待ち下さい」
そして中に案内された。
「具合が悪くなっている、父親は2階にいるのかな~」って感じで、廊下を通り過ぎて応接室に通された。
最初はまったく気づかなかった!
応接室の奥にストレッチャーのようなベッドの上で、父親が横になっていた。
びっくりする程、痩せてまったく別人のようだった。
ショックだった!!友人から聞かされたその父親の歩みは尊敬に値する人物だった。
様子が少しおかしい!ってずいぶん前に聞かされていた。
でも今日の姿を見てびっくり、そして悲しくなった。
そっと手を握ったら、親指を動かして私の手を撫でて来た。
その手を離せなくて、ずっと手を握っていた。
かなり長い間、手を握っていた。
そしてその間ずーっと親指を動かして、私の手を撫でていた。
家族の為に一生懸命頑張って働いて来た、男が目の前で弱々しい姿で横たわっている。
部屋の中には2才にならない2人の孫達が、楽しそうに笑い声を響かせていた。
尊敬するこの人物が、威厳を持ったまま時間を過ごせる事を祈るだけだ。

頭の中でこの歌のメロディーと歌詞がずっと流れていた。

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