イギリスでアンティークショウで買い付けをしている時に、どうしても迷って迷ってそれでも迷ってしまう場合があります
その時は、10年間売れなくて在庫になっても仕方ないと自分自身を納得させて、結局買ってきてしまうのです
でもそこまで悩んで買う商品ってそんなに多くありません
過去を振り返ってみても、5点くらいしか思い浮かびません
その中の一つがこのテーブルです
このテーブルはかなり悩みました
上品な雰囲気のおばあちゃんがこのテーブルの前に座っていました
私がこのテーブルを気にしていると、優しそうな笑顔を浮かべて説明してきました
高価だったために、私は「夕方までにお金が残っていたらまた来ます」と言ってその場を立ち去りました
でも心の中では、夕方までにこの思いが残っていてら買おうと、購入を決めていたのです
夕方そこに行ってみると、周りは片づけてガラーンとなっているブースが多い中、ぽつんと静かに椅子に腰かけておばあさんは相変わらず上品な雰囲気を醸し出していました
私も見かけると、にっこりと笑って静かに立ち上がりました
そして「どう~」って奨めてきます
1851年ウェールズ製のこのテーブルは、天板は石で出来ています
よくイギリスの屋根材で使われている天然石です
天板の裏側を見ると、天然石だとすぐにわかります
早速値段交渉をしました
しかし「あまりそんな話はしないで~」って静かに笑って答えます
その笑顔に購入を決めざるを得ませんでした
しかしその時は、このテーブルを買う人はあまりいないだろうな~と思って買いました
10年間売れないで在庫のつもりで買ってきました
いつかこのテーブルと赤い糸で結ばれている人が、現れるまでうちのお店で飾っておこうと思っていました
高価なアンティークを購入する場合は、そこまで思わないと購入しきれません
でも案外早くこのテーブルと赤い糸で結ばれている人は現れました
いつもアンティークを購入してくれているお得意様です
いつもはメールでの注文ですが、このテーブルに関しては自分の目で確認したいという事で、わざわざ府中のお店まで来てくれました
そして購入していきました
何だかうれしいような、残念なような、複雑な気持ちになってしまいます
現在10年在庫を覚悟して買ってきた商品は残り1点です
他の商品は何だかんだで、赤い糸と繋がっていた人の元へ旅立っていきました
そういった商品の売れる瞬間って、本当に印象的な決まり方なんですよね
現在昨年末セールに入荷が間に合わなかった商品だけのセール真っ最中です
是非お店に遊びに来てください