嶺上開花(りんしゃんかいほー)

「お昼頃Uさんが事務所に行きますという電話がきました」
外にいる時に携帯電話にこんな連絡が来た
5月に奥さんを亡くして、四十九日も終わり、外に出歩く元気と時間が出てきたらしい
でもある疑問が起きてきた
どうやってウチの事務所まで来るんだろう
いつも奥さんが車を運転して来ていたので、誰かの車に乗ってやってくるのかなーと思っていた
しかし電車でやって来て、京王線の東府中から徒歩20分くらいの距離を歩いて時間通りにやって来た
久しぶりに会うUさんは以前より元気が無かった
「参りましたよ~」なんども口にした
30分ほど話した後で、Uさんは帰ろうとした
その姿、全てが悲しかった
「車で送るよ」
「ありがとうございます 助かります」
結局駅を過ぎて奥さんと一緒の思い出が詰まったUさんのお店まで送った
珍しくお店が綺麗に整頓されていた
そしていつものように大きく手を振って、さよならをする

今日はとってもいい日だった
以前勤めていた熊本に暮らす元スタッフが子供達を連れてお店に遊びに来た
そして仕事が終わった夕方、全員で近くのレストランで食事をした
子供達も入れて総勢17人で楽しく食事をした
食事の後は我が家に子供達も集まって、にぎやかに遊んで帰って行った
楽しい時間が過ぎて、お風呂に入り机の前に座って音楽を聴こうとした瞬間、Uさんの悲しそうな姿が思い出された
長い間一緒に同じ時間を過ごしてきた、伴侶が亡くなるってどういう事なんだろう
私が悲しみのどん底にいる時に、一生懸命市場で青い花を集めて届けてくれたUさん
早く悲しみから立ち直って、元気な姿を見せて下さい
青い花を届けてくれた時に、私を救ってくれていたこの歌をUさんに送ります