現場リポート Report

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『海』をデザインモチーフにした駐車場庭。続きです。


 


土間コンクリートの面は仕上がりました。



先に打設した奥の方が 乾いて白んできているのがわかります。


 


くりぬいてある波のラインに、


ピンコロ石を詰めて行きます。



(波紋の起点から見る。)




(波の終点から見る。)


(犬も見ている。)



2列ないし、3列で。


石は3色 使っています。


このピンコロ石は、波高のラインの表現。


 


 


ところどころ残してある穴は、水抜き。後で砂利を入れます。



 


一方、


オーナー様自邸の玄関前アプローチを兼ねた駐車スペースは、



グレーを主調に、白を少しちりばめつつ。



最後の波線も絡めつつ



 全面的に、石畳に。


かくして、


エントランスは、このようになりました。



押し寄せる波の行き着く先は、陸とぶつかる「波打ち際」。


波打ち際の、泡の飛沫がさわさわ~と ちりばめられる感じをイメージ。


そして、玄関の方=陸(おか)へ向かって、じわじわと泡が少なくなっていく、、という感じを、


ピンコロの色分けで表現してみました。



濡れると はっきり色が出ますが、、


どうでしょうか・・・。波打ち際の飛沫っぽく見えるでしょうか・・・。


 



まあ、極論すれば、どのように見えても良いのです。


エントランスは、このような仕上がりになりました。


シーサーが、‘門無き門’の門番です。


 



さて、奥のほうの納めの「石組(いしぐみ)」は、というと。


既存の石たちを寄せ集めて、






再利用します。


 こつこつ動かして、



こうなり、



こうなりました。


宵に近い、蒼いバージョン。


 



濡れたバージョン。


濡れると 色が出て、表情も変わります。



陰影のコントラストが強いバージョン。


 


これは、「荒磯(ありそ)」 を表現してみました。


 (※現在は ‘あらいそ’ と読むのが普通ですが、万葉集では「ありそ」と読まれており、その呼称が好きなので、


   あえて「荒磯=ありそ」と称しています。)


 


 



右手から。


 


実は、造園の中で最も難しい(と思われる)のが、この 「石組」。


まだまだ修行中の手前、至極僭越なのですが、、、恥ずかしさを堪えて、憚りながらご紹介しております・・。


 


 


また、ご覧の通り、隣との境界に立っていたブロック塀は、擬木パネルフェンスでしっかり隠しました。



このフェンスの生み出す まっすぐな水平線の連続も、庭の重要な要素。


実は、「直線」をはっきり意識して使用しているのは、ここだけ。


ここは、枯山水の石庭に代表される 「和風庭園」‘風’ を意図しています。


禅的な石庭の、ピーン と張り詰めた感じを意識して。


 


一方、レンガづくしの中庭は、どちらかというと 洋風。


あちらの奥のレンガ塀も 確かにまっすぐな直線を生みますが、目地を同系色で埋めることで、全体をやわらかくぼやかして、対比させています。


 


和風っぽいとか洋風っぽいとか、色々ごちゃまぜですが、


オーナー様のご要望のひとつが


「‘無’国籍というか、‘多’国籍というか、国籍が ‘謎’ な感じに。」


という 素敵なものだったので、


全体的に「○○風」とひとくくりに出来ないよう、気を遣いました。



 


奥から見ると



このように。


エントランスから見ると、



 このようになりました。



駐車場の規則として設置しなければならない「白線」や、タイヤ止めも据えて。



 


「国籍が謎な感じ」というご要望に次ぐ、2つ目のリクエストは、


「とにかく格好良く」。


 


以上のご要望以外については、ほとんど全面的に好き勝手にやらせて頂きました。


好き勝手ゆえの難しさ というのもありますが、とにかく 感謝しきりの現場でした。


 *


 


さて次回は、


「植栽」。つまり、いよいよ最終仕上げです。


植物が入ると、庭の表情が一気に変わります。



(‘ヨーロッパギョリュウ’透かしに 駐車場庭を眺める。)



 


 



駐車場を造成します。


まずは整地~砕石展圧。



この駐車場は、オーナー様の自邸から見れば、南面の主庭にもなります。


そのため、ただの駐車場ではなく、「庭」としても 鑑賞に堪えうるものにしたいと考えました。


前回ご紹介した「ウッドデッキ・テラス」に立って、目の前に広がる庭を眺めた時に、


悠然とした、心地よい気持ちになって頂けるように。



 


旧宅の庭では、色々な庭石が使われていました。



それらの一部を残してもらい、新しい石組をつくることにしました。


とりあえず、奥の塀のほうへ寄せておきます。



 



石というのは、ものすごい重いもの。だいたい、水の2.5~2.7倍の重さがあります。


直径40cm程度の石が、成人男性が持てる限界の大きさと言われています。


   (※参考文献・・・『庭仕事の庭石テクニック』 高崎康隆監修、誠文堂新光社、2013)


大きすぎる石は、重機頼み。据える位置や向き、埋め込む分量等も大体確定させた上で、運んでもらいました。


この石組みについては、また別途。


 



一方、駐車場の方は。



ウッドデッキテラスを手がけた大工さんが、


地面に描いたラインに沿って、等間隔に杭を打ち込んでいきます。




杭に当てて板を曲げ、曲線(R)の型枠を作って行きます。



じわじわ拡大。



 


ところで、


本現場では、あるモチーフを デザインの統一コンセプトとして設定していました。


それは、『海』。


 


石積み外壁花壇は、「波」を意識していました。


アパートの共有中庭は、「雫」および、「波紋」を。


いずれも、『海』という主題から引き出したイメージです。


なぜ『海』か というと、、、


オーナー様が、海に縁のある方だったから。


 


故郷の風景や、特別親しみのある風景には、特別情緒的な、‘懐かしい’ という気持ちが呼び起こされます。


‘懐かしさ’ というのは、


‘しっとりとした嬉しさ’や、‘どこかほろ苦い甘辛さ’、‘はるか遠いところへの憧憬’など、独特の感傷を引き出します。


 


普段の忙しない生活の中、庭をふと眺めた時に、その特別なしっとりした感情が ちらっとでも喚起できたら。


という、願いを込めて。


 


この『海』という統一コンセプトを 最も直截的に表現したのが、この駐車場です。



奥のほう(異界)から じわじわ押し寄せてくる 波。


あるいは、ひたひたと、静かな波打ち際の風景に見えるでしょうか。


あるいは、一滴の波紋の一部分をぐーっとクローズアップして見た感じにも、見えるかもしれません。



 


それにつけても、


ここはあくまでも駐車場。


最もシンプルかつ安価な方法である:土間コンクリート打設で仕上げて行きます。



広すぎるので、段階を分けて打って行きます。


奥の方から、順々に。



橋をうまいこと架け渡して、均していきます。



コンクリート土間は、大面積になると、どこかにヒビ割れ(クラック)が生じ易くなります。(乾燥に伴い、収縮・膨張が発生するため。)


ヒビ割れ防止のため、面積が広い場合は 何らかの仕切りを設けて、小分けにします。


今回は、連続する波のラインが、仕切り目地の役にもなっているのです。



念のため、タテのラインにも仕切りを設け、さらに小分けにします。


(犬が見守っています。)


 *


 



スリップ防止のため、表面を少しざらつかせる「ハケ引き仕上げ」に。


ほとんど目立たなくなるのですが、この細かいハケ痕の線もまた、波を表現する一役。



 


第2回目の打設。


徐々に、空間いっぱいに拡がる大きな波紋へ。



全体に「海」が拡がっていく様子が、やっと現実に見えてきました。



土間コンクリートは、ドロドロ状態のものを流し入れてから 乾き始めるまで、時間が限られているので、


仕上げまで 一気にやらねばなりません。


日暮れまでに、ここまで来ました。



翌朝。



ぎゃー!犬が足あとつけちゃってる!


 


でも大丈夫。ここは(ギリギリ)仕上げ面ではない、ただの下地打ちの部分。



押し寄せた波の末端である 駐車場庭入口のスロープ部分は、


ピンコロ石を びっしり敷き詰めるのです。



ピンコロ石ももちろん、『波』の一役。


 


   ~後編へ続く。~


 


 


 


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