現場リポート Report

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植栽が納まれば、普通ほとんど完成・・・なのですが、


ここにはもうひとつ。諸事情により納品が延びていたものがありました。


アパート中庭のエントランスに立つ「アーチ」です。



(ビフォー:アーチ設置前の状態。)


コッツウォルズ石の外壁花壇の‘高波’が押し寄せる‘入り江’に、据え付けます。


 


「そんじょそこらには無い、かっこいいものを」


というご要望にしたがって、


アーチ、だけどただのアーチじゃない。という、完全オリジナルで考案したデザインで。


製作は、弊社がいつも依頼するロートアイアン作家さんに、この度もご依頼しました。


黒色ロートアイアン(鍛鉄)製。



 


まず、図面や打ち合せの果てに、模型を作ってもらいました。



このような立体構築物は、絵だけでは足りず、模型での検討が必要です。



内部からの見上げ。


これを見ながら、スケール感の確認やら、細かい部分を調整したり、制作方法・設置方法を相談したり。


「○○は要らない」とか「足はもう▼cm長くしたい」とか。細かく。


 



そして 実作。



屋根部分の基礎枠。これはシンプルな半楕円形のアーチ。


これに、細かい線の棒を張り巡らせまして、



ランダムなメッシュをつくりました。


幾何学的な直線で構成されているけど、しっちゃかめっちゃかな カオスなクモの巣、みたいな。


陽光を受けた時、内部の地面に 靄(もや)のような、霞がかった影を落とすことを意図しています。



足。柱。


植物のように、一見不規則で しなやかな、ぐにょぐにょした有機的なフォルムに。


(実際は鉄なので、もちろんガッチガチです。)


また、3本の鉄線が ひねり・よじれ・絡み合う構成にして、一見スリムで繊細で軟弱そうに見えながら


実はより強靭になるよう、意図した造り。



防錆用の朱色の塗料を下塗りしてから、仕上げの黒色を塗装していきます。



そして


いよいよ、現場へ設置。



まず事前に、敷いてあったレンガを外し、


足の基礎を埋める穴を掘ります。


6個。



それから、搬入。



ロートアイアンですので、現場で溶接だのナンだのは、さすがに出来ません。事前に加工場でほぼ作り上げた状態にして、


現場では 簡単に手を加えるだけで設置が完了できるように考える必要があります。



搬入時の形状や、乗り入れ方法なども 綿密に計画した上での製作+設置。



中心の穴に、吊り上げのために造った チェーンブロック用 特性鉄骨柱を


通して設置し、



吊り上げて行きます。


それから、


足(柱)を取り付け。




接続はネジ。(止めた後、黒色塗装します。)


この時点で 宙に浮いてぶらぶらしている足は、


モルタルでしっかり、基礎に固めます。



基礎が固まったら、改めてレンガを敷き直します。



足は、地面から にょきにょきっと生えてきた感じにしたかった。(ジャックと豆の木っぽく。)


しかし、地際および地中に埋めると、鉄は腐食しやすくなります。そのため、ギリギリ埋まらないラインから「生やし」ました。



というわけで、


出来ました。


特製「ガゼボアーチ」です。



エントランスの外から、中庭を望む。


黄昏時。




アーチでありつつ、


六角のガゼボ(gazebo=西洋風あずまや)でもある。 また、ドームっぽくもある。


という、「一言では言い表しにくいもの」を。オーナーさんの「どこの国だか分からない感じ」というコンセプトを引っ張って。



屋根の、半ば透けて見えるクモの巣みたいな繊細な感じも、うまく出来ました。


ジャックと豆の木みたいな、ぐねぐねの足も。




アパート入口への動線と、奥の駐輪場への動線は、絶対的にスムーズであるように。


でも直線的ではなく、少し蛇行(カーブ)するように。



中庭からの見え。


傍らの立派な街灯は、イギリスより舶来のもの。


これをアーチの中から見ると、



こんな感じ。アーチの中から、見上げ。


ぽっかり抜けた天の‘穴’から、外灯の明かりがちょうど見えるよう、


位置や高さを調整しています。



夜の風景。点々と、灯り。


黒ロートアイアンの黒が、くっきり浮かび上がります。




夏。



生い茂る緑と、コッツの迫力ある石積みの高波が押し寄せる入り江。


そこに、「謎」な黒い物体が加わりました。



これが、冬になると、



こうなりました。




もう一度。別の角度から。



夏。


左手にモミジ、右手にハギ。


シンボルツリー:ロドレイアの花壇が、真正面に見えます。


ヒメイワダレソウの真ん丸い花壇が、その手前に、ちょっとずれて。


その奥に列柱+サイクルポート(直接自転車が露わに見えないように)


そして、奥の庭。



これが、冬には。



2014年2月。先日の重い大雪の後。


奥にあったサイクルポートが、壊れてしまいました・・・。


でもこのアイアン製アーチは、しっかり。全然無事です。




さて、


「なんでこんなデザインなの?」と 不思議に思われる点も色々あるかと思われますが、


(屋根のメッシュの所々にある黒いかたまりっぽいのは何なんだ?とか)


一応、あるモチーフがあります。好き勝手に考えたような部分もありますが、


製作・施工との兼ね合いも考慮した上での 現実的な意図、


使う人=住まう人の動線なども汲んだ 機能的な最適解、


多々もろもろ。こだわって詰め込んだ結晶になっています。


もはやイチから説明しきれません。



そんなこだわりの中でも、一番「非・実用的」 だけど 一番力を入れた(かもしれない)


一番「詩的」で「精神的」な部分は、


‘屋根の見上げ’に。




いわゆる ‘でたらめな線で出来たクモの巣みたいなメッシュの半ば透ける屋根’の中心に


ぽっかり くりぬかれた ‘何もないところ’ を通して、


‘まんまるな空’ が見えたら、と考えました。



この穴を通して こんな丸い空が見えるのは、アパートに帰ってきた時。


(出かけるときは、こんな風には見えません。)


このアーチをくぐりながら (イギリスの外灯の明かりに誘われるように) ふと見上げた その瞬間だけに見える、


特別な、真ん丸い空。


「空(から)っぽ」なところに 見える 「空」。


例えば、



こんな空も。



色んな季節を経て暮らし続けていく中で、色んな‘まるい空’に出会えるはず。




では、


最後に、もう一枚。



中庭を望む。


コッツウォルズの石壁と、


レンガ敷きの道と、


豊かな緑と。





以上、


最後の納品。黒ロートアイアン製「ガゼボアーチ」。


でした。



そして、



以上。


府中市 某アパートの外構現場レポート (2011年計画開始~2013年竣工)


でした。完結!



ぎこちないレポートでしたが、ここまでご高覧頂きまして、ありがとうございました。



今後、植栽の生長具合やら、現状の経過報告など、またお目にかけられることも、もしかしたら、あるかもしれません。ないかもしれません。


その節は、何卒。




(Garden shop You/ Garden & Exterior Planner  ノグチ)




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